エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
淡々と問いかけたら、彼が慌てたように口を開いた。


「いや、それはやらなくていい。厨房とこっちとでマニュアル通りの二回確認は済んでいる。間違いはないと思うから……」

「そうですか」


余計な指示だったと暗に認めて訂正した理由はなんだろうと、瑞希は目を瞬かせた。

すると蛭間が瑞希を直視しないまま、「ありがとう。助かったよ」と小声でお礼を言った。

「フランス語はさっぱりわからない。英語も正直、話せるとは言えないから、森尾さんがいてくれてよかった。外交官は、語学が堪能で優秀な人しかなれないんだろうね。森尾さんのことはすごいと思ってるよ。ここでの仕事もすぐに覚えてくれて、正確だし……」

まさかそんなことを言われると思っていなかったので、瑞希は戸惑った。

学歴と前職が嫌われる原因であったというのに、褒められておかしな気分だ。

「私はノンキャリアで、まだ新米のうちにリタイアしたんです。大した人間ではないので――」

謙遜しようとしたら、クローク内から飛び出してきた鏑木に手を握られた。

普段は大人しくもじもじと可愛らしい彼女が、興奮気味に言う。


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