エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「うん。プライベートと仕事、はっきり分けているからじゃないかな。もしくは婚約者にそれほど惚れていなかったか。政略結婚的な匂いがしてたよね。そうだったとしても、婚約の話は半ば周知されていたようなものだからプライドは傷つくでしょ。みんなからの評価が高い男性ほどね。それで――」


そこからの真野の話は耳に入らなかった。

ランチの続きを食べる気にもなれず、瑞希は布施の心境を想像する。

(真野ちゃんのいうように、傷ついているのはプライドで失恋の痛手はない? わからない。仕事ぶりは変わらないから……あれ? そんなこともないかも)

先週からの彼との関りを振り返って、気づいたことがあった。

フランス大使館からの連絡を受けて布施に電話を代わろうとしたのだが、三回呼びかけても気づかなかった時があった。

いつも一寸の乱れもないビジネスヘアなのに、寝ぐせが見られた時も。

今日の打ち合わせでは、布施の発言時に微かにアルコールの匂いがして驚いていたら、『悪い、昨夜飲みすぎたんだ』と急いでマスクをしていた。

それも初めてのことである。

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