エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
本当に優秀な人はそんなアピールをしない。

興味を持っていることや、取り組んでいること、将来的なビジョンを話した方が、その人の魅力が伝わる。布施のように。

(ナンパ目的のファーストコンタクトでそんなこと言うのも、おかしいと思うけれど)

「結構です」と彼らの脇を抜けて先を急げば、「ブスのくせにお高く留まってんな」と非難が浴びせられた。

(ひどい! 美人じゃないけどブスでもないよ。言うなれば十人並? あ、自分で言って悲しくなってきた)

振り向いて彼らを睨んだが、怒りは驚きに取って代わった。

十メートルほど先の居酒屋から、布施がひとりで出てきたからだ。

足元がおぼつかないように見える。

布施は今日、瑞希より一時間ほど早く退勤した。

帰宅前に飲食店に寄るのはおかしくないが、なぜこの辺りを選んだのかは疑問である。

布施とは利用している電車の路線が違う。

自宅からも職場からも遠いこの街の、ありふれた居酒屋でなぜ……。

(酔っている姿を知り合いに見られないようにするため? 私がこの辺に住んでいること、たぶん知らないと思うし)

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