エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
彼に部下としてしか見られていないとわかっているのに、失恋した気分で胸が痛んだ。

けれども自分の傷を心配している場合ではない。

布施が再びバーのドアに手を伸ばすので、焦って腕を引っ張りふらついた体を横から抱きしめるようにして支えた。

彼の腕を自分の肩に回しかけ、強引に歩きだす。

(タクシーに乗せても、途中下車して飲み屋に入ってしまうかもしれない。こうなったら私の家に連れていって、酔いが冷めるまで寝かせるしかない)


「森尾、どこへ行く?」

「悪いようにはしませんから、とにかく付いてきてください」

(こういう台詞、下心のある悪い男性が使いそう。別に私、布施さんを襲おうなんて思ってないから)


布施の体は重く、やっとの思いで自宅マンションに帰り着いた。

白を基調としたシンプルモダンな十二畳のワンルームで、ベッドと椅子が二脚のテーブルセット、パソコン用デスクを置けば狭く感じる。

脱力している長身の体をベッドに運んで横たえた。

苦しげな呼吸をしている彼が、「悪い」と呟いた。

「少し休んだら帰るから……」

どうやら理性は残っているらしい。

< 43 / 224 >

この作品をシェア

pagetop