エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
どうやら瑞希たちの会話が聞こえてしまったようで、チラチラと流される視線に強い好奇心が見て取れた。

恥ずかしさに、瑞希の頬が熱くなる。

店内には他の客も十五人ほどいて、できるだけ声を落とした方がよさそうだ。

店員が去ったあとには、布施の前に湯気立つコーヒーが、瑞希の前にはハートのラテアートが施されたカプチーノが残された。

それを見つめながら、小声で彼に訴える。


「あの、ここでこんな話をするのはものすごく恥ずかしいんですけど」

「だから電話した時に言っただろう。個室がある店にした方がいいんじゃないかと」

「その提案をくれる前に、気軽に喫茶店でと言ったのは布施さんです。後から個室を提案されたら、どうしたって気軽な方を選びたくなるじゃないですか」


羞恥心を紛らわせたくてついムキになって言い返せば、布施が「ダコー」とすんなり引いた。ダコーとは、了承を意味するフランス語だ。

「全て俺のせいだ。悪かった」

瑞希はハッとして顔を上げた。

沈痛な面持ちの彼を見て、罪悪感が押し寄せる。

責めてしまったことに対しても、「すみません」と瑞希は謝った。

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