エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「森尾は真面目で正直な人だ。こう言っては失礼かもしれないが、複数の男を手玉に取れるような器用さはない。フランスの男性は社交辞令のように女性を褒めて口説く。お前はいちいち真っ赤になっていたな。恋愛に不慣れなのは一目瞭然で、随分とヒヤヒヤさせられた。食われないよう守るのは俺の役目だと思わせられるほどにな」

そういえば……と瑞希は研修時代を振り返る。

公費でフランス語の授業を受けられるのだが、語学学校の講師の男性に食事をご馳走すると自宅に招かれたことがあった。

若者ではなく、髪の半分が白くなった七十近い男性である。

それを布施になにげなく報告したら、ついてきてくれたのだ。

普通に夕食をご馳走になったその帰り道で、布施に『やはりな』と言われた瑞希は首を傾げた。


『彼の家族は旅行で留守だった。その時を狙って、フランスに不慣れな外国人女性を自宅に招く。この意味を理解しろ』

『あっ。ですが、私の祖父くらいの年齢ですよ?』

『老人でも男は男。フランス人男性だ。残念なことだが、アジア人女性は騙しやすいと思われている節がある。本物の親切と下心の嗅ぎ分けができないなら、全て疑え』

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