エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
『わかりました。気をつけます……』


そんな企みをするのはごく一部であろうが、日本よりは危険だという認識を瑞希は頭に刻み込んだ。

その上で、ふと思ったことを口にした。


『つかぬことを窺いますが、布施さんが今日ついてきてくださったのは、親切心のみですよね?』

『おい、俺に下心があると疑うのか?』

『布施さんがそう言ったんじゃないですか。全て疑えって』

『揚げ足を取るな。ほら、お前のアパルトマンに着いたぞ。中に入ってしっかり施錠し、早く寝ろ。明日遅刻するなよ』


そのあとも、フランス式の挨拶だと言われて初対面の男性に濃厚な抱擁をされた時やこちらがフランス語を理解していないと思ったのか卑猥な言葉をかけられた時も、守ってくれたのは布施だった。

これまでの感謝と、今はあの時の頼りない自分とは違うという自負。

そしてあんなにお世話になったのに、一人前の外交官になる前にリタイアすることになって申し訳ないという思いが瑞希の胸に渦巻いた。

瑞希はカップに視線を落とす。

ラテアートのハートを崩してひと口飲んでから、布施に視線を戻した。


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