エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「鏑木さん、わからないことがあったら遠慮なく俺に声かけてね。君は入ってまだ三か月だからさ。どんな些細な質問でもして」

(あれ? 私がこの仕事を始めてひと月経った頃に、蛭間さんに質問したら、『そんなこともわからないのか。自分の頭で考えろ』と言われたのに)

このダブルスタンダードの理由を考えて、女性としての魅力の差に思い至る。

鏑木は二十歳のフリーター。

小柄でふんわりとした雰囲気が可愛らしいと同性の瑞希も思う。

蛭間は独身で、もしかすると彼女を狙っているのかもしれない。

子持ちのシングルマザーでアラサーの瑞希には優しくしても意味はない、ということのようだ。

(まぁ、いいか)

多少の悔しさはあっても、抗議も反論もせず聞き流すことにした。

ここは一時の職場で、海翔がもう少し大きくなったら正社員としての雇用先を探そうと考えている。

それまではなるべく波風立てず、自分が我慢すればいい……そう思ったら、布施の顔を思い出してしまった。

布施は前の職場の上司だ。


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