エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
在フランス日本国大使館には、パスポートや財布を盗られたと泣きついてくる日本人観光客が少なくない。

そういう人の帰国の世話をしたこともあった。

その経験が記憶に強く焼きついているため防犯上で役立つ言葉を教えたのだが、今度も鏑木に喜んでもらえなかった。

「私、パリに憧れていたんですけど、旅行先には選ばないようにします……」

どうやら怖いという印象を与えてしまったようで、瑞希は慌てた。

「ああっ、ごめんね。日本に比べたら治安はよくないけど、世界でみれば安心していい街だよ。親切な人ももちろんいる。芸術、ファッション、食、どれをとっても素晴らしい。街のいたるところに歴史を感じられるし、私のお勧め観光スポットは――」

フランス文化に惹かれるからこそ大学時代に専門的に学び、外務省に入省してからもフランスに関わりたいと希望を出したのだ。

(怖いと思わせてどうする)

敬愛する国を応援しなければと、熱く観光スポット紹介をする瑞希であった。


片づけを終えてからは、鏑木と交代で三十分の休憩に入る。

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