愛しの鳥籠〜独占欲は凶器篇〜
僕に促され、ゆっくりしっとりと個室に入ったランを見て、大津も愛梨沙も呼吸が止まったのがわかった。
それほどまでに、
ランは美しかった。
腰まであるサラリとした艶々の黒髪。
こっくりとしたバーガンディ色のタイトなニットワンピからは、人並外れたスタイルの良さがありありと表現されていて、身長の低さはハイヒールで上手にカバーしている。
メイクは必要最低限。
アーモンド型の目を活かした大人っぽいアイメイクに、それと服にも合うようなブラウン系のリップで、全てが完成された「美」がここに存在していた。
…出逢った頃のランは愛梨沙のような量産型の服やメイクを好む可愛い系だったのだが、1年と数ヶ月の間に自分に似合う服装とメイクを見つけてどんどん自分を磨いていったのだ。
現在のランには、そんじょそこらの美女じゃ相手にもならないだろうな。
ーー特に、愛梨沙のような化粧で顔を造ってるような女なんか到底及ばない。
ああ、ほら。大津と愛梨沙がそろそろ窒息しそうだ。