愛しの鳥籠〜独占欲は凶器篇〜
「ふたりとも、そろそろ呼吸してもいいぞ?」
ププッと堪らず吹き出しながら言えば、ふたりはハッと我にかえり慌てて呼吸を始めた。
ランは何が起きたのか解らず首を捻(ひね)っている。
席はゆったりとした6人用なので、ランには大津とも愛梨沙とも向かい合わないように座らせた。
僕の向かいが大津。その大津の隣が愛梨沙だ。
ランをきちんと紹介する前に飲み物を頼む事になったので、大津は生ビール、愛梨沙はカシオレ、僕はハイボール、アルコールが苦手なランはアイスゆず茶を。あとはつまみを適当にオーダーしてやっと少し落ち着いた感じになった。
スマホを一応マナーモードにしておくかと思い、下を向いて操作していたらシャツの袖を遠慮気味にツンツンと引っ張られた。
「どうした?」
顔を上げてランの方を見れば
気まずそうな表情で僕に助けを求めていて。
不思議に思い、向かいに座る大津と愛梨沙を見やると、ガン見とはこの事かと思うほどに2人揃ってランの事を見ていた。