愛しの鳥籠〜独占欲は凶器篇〜
「初対面なのにそんなジロジロ見たら失礼だろ?」
本当は可笑しくて堪らないけど、それをググッと堪えて一応年上として常識とやらを2人に言って聞かす。
2人はハッとして「す、すみませんっ」と平謝りだ。
僕はもう今にもゲラゲラ笑い出しそうだったけど、そういうキャラじゃないから我慢して何とか真顔を作っている。…今にも崩壊しそうだけど。
「…初めまして。ユキの彼女のランと言います」
おずおずと控えめに挨拶をして薄く微笑めば、そんなランを見て大津は顔を真っ赤にする。
それだけでも激しい嫉妬に駆られた僕はすかさず、
「違うだろ?ランは僕の婚約者。でしょ?」
その言葉に今度反応見せたのは愛梨沙。
「そうなんですかっ!?」
グイッと身を乗り出した愛梨沙をランはまるで汚いものでも見るような目で一蔑(いちべつ)する。愛梨沙の問いには応えない。
「こ、婚約者…ってことは、ど、同棲とかしちゃってるンスか!?」
好奇心を抑えられないのは大津だ。
「ええ。付き合う前から」
ニッコリとランが笑めば、無視されてムッとしていた愛梨沙も大興奮な大津も思わず黙って頬を染めた。
…ランを連れて来るの、誤ったかも。
僕の嫉妬心と独占欲はこのふたりによって煽りに煽られる。