愛しの鳥籠〜独占欲は凶器篇〜
「つ、付き合う前からって、どういう事ですか…?」
怪訝な顔で訊いてきた愛梨沙に勝ち誇った表情でランが口を開こうとしたけど、先に言葉を放ったのは僕だった。
「それはね?ランに一目惚れした僕がランの事を拉致って家に閉じ込めて縛ったからだよ」
せっかくニッコリ笑いながら優しさたっぷりに語ったのに、どうやら目は笑っていなかったようだ。ふたりの真っ赤な顔が瞬時に青くなってしまった。
「…先輩、それ犯罪ッス…」
「いいのよ。最初はどうであれ現在わたしはこの通りとても幸せだもの。ユキになら、何をされても構わない」
視線を落とし、アイスゆず茶を太いストローで飲んでいるその姿、その形の良い唇。
今すぐ食べてしまいたい。
「…なぁんかぁ、」
そんな僕の邪(よこしま)な考えをぶち壊したのは、やっぱりコイツで。
「愛梨沙、ユキ先輩のこと、ますます好きになっちゃったみたいですぅ」
えへへっ。と、カシオレたった一杯飲んだだけなのにもういい感じに出来上がってる愛梨沙が唐突に告白してきた。
大津は慌てて「愛梨沙ちゃんっ、なに言ってるんだよっ…!!」と、愛梨沙の口をもがもが塞ごうとするが、アルコールの力を借りた愛梨沙は尚も告白が止まらない。