社長はお隣の幼馴染を溺愛している《宮ノ入シリーズ④》
 そして、要人は忙しかったけど、お盆休みはしっかり取ってくれて、私と一緒にお墓参りへ来ていた。
 いつもは一人だったけれど、今回は二人で。
 
「ああ。暑いですねぇ」

 そう声をかけてくれたのは、いつもこの霊園を掃除しているお寺の人だった。
 お盆の時期だからか、数珠を手にしている。
 そして、黒いスーツ姿――それで、この人がお寺の人ではなかったことを知った。

「お寺の方じゃなかったんですね。来るたび、掃除していらっしゃったから、てっきり……」
「朝の散歩がてらに、お墓の掃除に通っているんですよ」

 ちょうど、私のおじいちゃんにあたるくらいの年齢だろうか。
 きっとお墓に、どうしても忘れられない人が眠っているのだろう。

「今年は二人で来られたんですね」

 水と花を持ち、後からやってくる要人を眩しそうに眺めて、その人は言った。

「はい。ようやく」
「そうですか。よかった」
 
 私が答えると、笑ってうなずいた。
 それで会話は終わり、私に会釈すると、霊園の出口へ向かって歩いていく。
 その人は要人ともすれ違う時に、挨拶かなにか、一言だけ交わしていたようだ。
 けれど、長話することはなく、やがて、その背中が見えなくなった。

「志茉、なにか話したか?」
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