社長はお隣の幼馴染を溺愛している
宣戦布告
 私を問答無用で車に乗せると、要人(かなめ)はサングラスをとった。
 車はいつ買ったのか、イタリアの高級外車マセラティ。
 問題なのは車じゃない。

「なんなの。そのヤクザの若頭風の服装は!」
「誰がヤクザだ! 志茉(しま)がばれたくないだろうと思って、気を利かせたんだろ。俺の中では大学生風だ」
「大学生!? 嘘をつきなさいよっ、嘘をっ!」

 明らかに威圧感バリバリで、相手を食い殺しそうな狂犬モード。
 ごついシルバーのアクセサリーと黒いシャツ、サングラスまでつけて、なにが大学生だ。
 外見から、相手を圧倒させるつもりできたくせに、よくそんな嘘をさらっと言えるものだ。

「はぁ……。明日から、私はヤクザの女って噂されるんだ……」

 悲しみのあまり顔を覆った私を見て、要人は笑った。

「俺の女か。それ、いいな」
「違うでしょ! 大事なところはそこじゃないわよ!」

 達成感に満ちた顔に腹が立ったけど、今日の夜、役員たちとの歓迎会があると、要人が言っていたのを思い出した。
 
「歓迎会はどうしたの?」
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