世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



 あかりは宇宙を背負っている。創立記念パーティーとは……? 状態だ。一般家庭で育ったあかりでは理解が追いつかない。


 そんなあかりを気にすることなく、清谷は真剣に話を続ける。

 

「とにかく、本当に助かったんです」
「そっかぁ、じゃあ次にスーツを着るときはちゃんと水分とってね」
「はい、気を付けます」
「……けど、本当に大人っぽいね。年下に思えないよ」



 あかりはじいっと清谷の顔を覗き込む。あかりは三つ子に総一郎、とにかく男子に対する距離感がバグりがちなので、思春期の男子の顔を至近距離から見つめることが、相手にどんな影響を与えるか分かっていない。


 しかも清谷はあかりのことを意識している。



「えっ……ちょっ……あ」
「目も大きいね。羨ましいなぁ」



 無自覚とは恐ろしい。清谷はもう耳まで真っ赤になって息も絶え絶えなのにあかりは清谷の目を縁取る長いまつ毛に夢中だ。


 


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