世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1




「今日は練習試合だよね? 清谷くんの学校で」
「うんそう」
「ちゃんと謝るんだよ?」
「……分かってるし」
「迷惑掛けてごめんなさい。はい、リピートアフターミー」
「メイワクカケテゴメンナサイ」
「すごいカタコトだけど、もうそれでいいからきちんとね」



 あかりは、眉を顰め不満げにする総一郎の頭をよしよしと撫で撫でする。



「今日も頑張るんだよ? いってらっしゃい」
「……あかり、かわいい」
「ハイハイ」



 総一郎は撫で撫でされて、あかりお姉さんにメロメロだ。
 愛おしさが爆発しそうになり、抑えるために魔法の呪文あかりかわいいを唱える。もはやあかりかわいいは総一郎の鳴き声だ。なんで付き合ってないんだこの二人。


 総一郎は撫で撫でのお返しにあかりのほっぺをすりすり撫で撫でして、本当に名残惜しそうに部活に向かった。
 玄関のドアが閉まるのを確認し、あかりは途中だった皿洗いをすべくキッチンに向かう。



「…………あ」




 キッチンにお弁当の包みがポツンと置いてある。総一郎、まさかの忘れ物だ。
 世話好きのあかりは勿論……。



「清谷くんの学校の体育館だよね。洗濯物干し終えたら届けてあげよう」



 ──盛大なフラグ。大混乱の幕開けである。



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