離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
テーブルにはグラスとカトラリーが並んでいた。
「食事するんですか? だったらわたしが」
「いや、もう準備はできてるんだ。パスタ以外は」
「え、もしかして慶次さんが作るんですか?」
彼は一切料理をしない。洗い物なんかは手伝ってくれるが、わたしと結婚するまでは食事はすべて外食だったらしい。
「なんだ、そんな心配そうな顔するなよ。ちゃんと練習したから」
慶次さんが練習……料理を、今日のために?
驚きとともに、彼がわたしのために時間を割いてくれたことを知って胸がキュンと音を立てた。
「座って待ってて」
「でも」
「いいから」
無理やりダイニングチェアに座らされたわたしは、はらはらしながらキッチンの方を背を伸ばして覗く。
ぎこちない包丁使いで、ひとつ作業をするたびにあちこちきょろきょろして道具を探したり、冷蔵庫にものを取りに行ったり。それはもう本当に普段からやっていないのが丸わかりだ。
だけれどすごくその姿に胸がときめいてしまうのはどうしてだろうか。いや、自分のために一生懸命になってくれていることが、こんなに胸に響くなんて。
わたしは今の慶次さんのひとつひとつを見逃さないようにとジッと彼を見つめた。
「和歌、できたぞ」
テーブルの上には、よく冷えたワインと綺麗に盛りつけられた前菜。それに今できたばかりのナポリタン。