離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 そして約束の時間の五分前、彼の部屋の前で少し緊張しながらインターフォンのボタンを押した。

 中からすぐに返事があり、扉が開く。休日スタイルの慶次さんを見慣れているはずなのに、なんだかやっぱり緊張が取れない。

 それはもしかしたら、昨日彼がベランダで恋人になろうと宣言したからかもしれない。

 結婚までしてるのにバカみたいだと思われそうだけれど、そういう色っぽい話がなかったのだからドキドキするのは仕方ない。

「おじゃまします」

「どうぞ。適当に座って」

 部屋には一緒に暮らしていた時に使っていた、ダイニングテーブルがあった。

「これ、持ってきたんだね」

「ああ、なんだか置いていくにはしのびなくてな」

 いつも帰宅するのが夜遅い慶次さんだったが、朝は比較的一緒に食事をすることが多かった。そのせいかわたしたちの会話は、このテーブルで交わしたのが一番多いかもしれない。だから彼がこれをこの部屋に持ってきてくれたことをうれしく思う。
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