離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く

 わたしから情報を引き出せないと思った記者は、すぐにその場を去った。しかしわたしはその場を動けない。

 会社の経営、うまくいっていないんだ。一緒に暮しているときもずっと遅くまで残業をしていた。会社を立て直すために深夜まで働いていたのだとしたら?

 それならば彼がわたしと離婚できない理由がわかる。どうしてもまとまった資金が必要なのだ。銀行などの融資をうけるよりも、姻戚関係にある祖父の会社から融資を受けた方が早い。

 たどり着いた答えに、目の前が真っ暗になる。

 慶次さんは確かに素敵な人だ。仕事もできるだろうけれど、そういう人だって失敗することはある。

 お金は人を変える。わたしは祖父のそばでそういう人を見てきた。だからこそ彼がそういう人でないと言い切れない。

「和歌」

 慶次さんが向こうからわたしを見つけて小走りで近づいてきた。どうやらわたしを探していたようだ。

「ずいぶん探したけれど、なにかあったのか?」

「大丈夫、なにもないよ」
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