離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 今日わたしをパートナーとしてパーティーに連れてきてくれたことで、彼女ではなくわたしを選んでくれたのではないかと少し期待した。けれど彼女との関係は続いているようだ。

「七尾さんには関係ないことですよね?」

 いつもならこんな言い方しないのに、棘(とげ)のある言葉を彼女に投げかけてしまう。しかし向こうはまったく気にしていないみたいだ。

「それがそうじゃないの。あなたたちの関係如何(いかん)により、わたしの人生が左右されるのよ」

 そこまで聞くと、わたしの中にあった疑惑が確信に変わっていく。

 彼女はまだ慶次さんをあきらめていないってことがわかった。それでは慶次さんの心はわたしのもとには来ない。

「そんなこと、わたしに言われても困ります」

 わたしはそう言うのが精いっぱいでパーティー会場に戻ろうとした。しかしそこでひとりの男性に呼び止められる。

「あなた先ほどのパーティで小田嶋社長と一緒にいらっしゃった方ですよね?」

 わたしが頷くと男性は名刺を差し出した。

「週刊誌の記者さん?」

「ええ。実はテックコントラクトの身売りの話が出ていて、何かご存じじゃないかと」

「身売りって、会社を売るってことですか?」

 わたしがかみつくと記者は笑って見せた。

「いや、あくまで噂なんでね。何も知らないならいいや。失礼しますよ」
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