離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「パーティーの時に七尾さん自身から聞いたんです。『社長との関係、早く収まるところに収まるといいですね』って直接言われたんですよ」
これは盗み聞きではなく、はっきりと本人に言われたのだから誤解のしようがない。決定的な証拠を突きつけたのに、なぜか慶次さんは声をあげて笑い出した。
意味がわからずに今度はわたしが戸惑う番だ。
「なんで、笑ってられるんですか? わたしは慶次さんが七尾さんのことを好きだと思ったから、幸せになってほしくて離婚したいって言ったんです」
ぐっとこぶしを握る。
「いや、だから七尾は俺のことはなんとも思ってない。和歌との関係を『ちゃんとしてください』って言ったのは、おそらく和歌との適切な距離をとるために残業に没頭したり、深酒したりして七尾に迷惑をかけることがあったから、純粋に上司を心配しての言葉だと思うぞ」
「なんともですか?」
そうは言われても納得できない。
「そう、七尾が好きなのは射水。あいつが俺と和歌が本当の夫婦になったら自分たちのことも考えるとか適当なこと言って、七尾とのことを濁したんだ。だから射水と結婚したい七尾は意地になってだな」
「嘘……」
驚きでそれ以上言葉が続かない。
「嘘じゃない。俺が七尾のことを好きだなんて一度も言った覚えはないし」