離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 急に言われても、すぐにどうにかできそうにない。

「まあゆっくりな。俺たちのこれからは長いから。そうだろ、和歌」

 わたしが頷くと、彼はソファにもたれ、天井を仰ぎ見て大きく息を吐いた。


「お疲れですよね。お風呂用意しますね」

「あ、それならもう湯は帰ってきてすぐに張ったから。和歌が先に入って。着替えなんかはあの部屋に運んでもらってある」

 慶次さんがリビング続きにある部屋のドアを指した。引っ越しの指示から風呂の準備まで、なにからなにまでやってもらって申し訳ない。

「でも、慶次さんも疲れてるはずです。先に入ってください」

 旦那さまよりも先にお風呂に入るのはどうだろうか。こういう時は夫を立てるべきだ。

「もしかして、夫を立てるとか思ってる? 俺にはそういう気遣いはいらないから、和歌が先に入って。片付けてしまいたい仕事もあるし」

「今からですか?」

「ああ、社長って案外と大変なんだよ」

 おどけて肩を竦めて見せる彼にくすっと笑ったわたしは、彼の言葉に甘えることにした。

「では、お先に入らせてもらいますね」

 わたしは先ほど慶次さんに教えてもらった部屋に向かい、自分の着替えを用意しようとした。しかし部屋に入った途端に目に入ったのはキングサイズのベッドだ。

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