離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く


「はぁ、ドキドキする」

 髪も体もこれでもかというくらいに綺麗にした。色々意識しすぎて、ものすごくお風呂に時間を費やしてしまった。しかしまだ慶次さんは仕事中のようで、部屋に入ったきり出てこない。

 煌々と明るいリビングで待つのもなんだか恥ずかしく、わたしは寝室のベッドに座っていることにした。

 ここからどうしたらいいんだろう。慶次さんは大人だから任せておけばいいんだろうけど、変なことをして嫌われたりしたらどうしよう。いや、でももう籍を入れたのだからそうやすやすと捨てられたりはしない……はず。

 真剣に悩んで、気が付けばベッドの上で正座していた。気持ちを落ち着かせようとあれこれ考えすぎて逆にパニックに陥りそうだ。

 そういえば、今日の慶次さんの紋付姿本当にカッコよかったなぁ。それにずっと優しかった。後でこっそり、スマートフォンで撮った写真を眺めよう。

 もしかしてわたし、ものすごく幸せなのでは?

 思わず枕を抱きしめて、ニヤニヤしてしまう。ふと、クローゼットの鏡に映る自分の姿を見て顔を元に戻す。

 慶次さんが部屋に入ってきた時にわたしがひとり、笑っていたら変に思うだろう。そうは思うけれど、やっぱりあのカッコいい彼を思い出すと胸がときめいて頬が緩んでしまう。

 だってあんなカッコいい人がわたしの旦那さまなんだよ!

 初夜を目前にしてもいまだに信じられない。けれどわたしは間違いなく彼と結婚した。そしてこれから心身ともに彼の妻になるのだ。

 もちろん緊張しているけれど、それだけじゃない。期待と不安が入り混じり、いてもたってもいられない。ずっとドキドキしっぱなしで、心臓が持つのか不安になるほどだ。

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