離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
そして翌朝。
すっかり明るくなった部屋で、外から聞こえる音に耳を澄ませる。
どうやら慶次さんはすでに起きているらしい。
出ていって話をするべきなのだろうけれど「どうして昨日寝室に来なかったのか?」と問い詰めるなんて、到底できそうにない。
だって彼のその行動そのものが、物語っているから。
寝室に彼が来なかったのは、つまりわたしとはそういうことをするつもりはないという意思表示だろう。
そこまで考えて、息もできないほど苦しくなった。
昨日感じた幸せな気持ちはいったいなんだったのだろうか。
そんなことを考えていると、扉をノックする音が聞こえた。本当なら顔を出すべきだというのはわかっているけれど、こんな気持ちのまま彼に向き合うことなんてできない。
わたしは布団の中で息を殺して丸くなる。しばらくすると彼の気配が消えた。おそらく仕事に向かったに違いない。わたしは大きく息を吐くと勢いをつけてベッドを出た。
そしてそのまま部屋を出ると、昨日の夜、慶次さんが入っていった部屋のドアを勢いよく開ける。するとそこには彼が先ほどまでいた形跡が残されていた。
仕事をするためのデスクの横には大きなベッドもある。ここに引っ越しをする際、祖父のベッドを運び込むことは事前に彼は知っていたはずだ。
にもかかわらずここに彼専用のベッドがあるということは、最初からわたしと一緒に寝るつもりはなかったのだ。