離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「な~んだ。そっか。そっか」
やっとしっくりきた。いや、むしろ今日の今日まで気が付かない方がおかしかったのだ。
これまで彼は紳士で優しかった。大切にされていないわけじゃない。でもそれはわたしが白木の孫だからだ。その証拠に、わたしに対する彼の気持ちは一度も聞いていない。
好きだとも愛してるとも……。普通は結婚する相手に囁くであろう言葉を、ひとつももらっていない。自分の価値のなさをつきつけられたような気がした。
じわっと涙がにじんできた。自分の価値が祖父の孫ということだけのように思えてきてしまった。
だから本当の妻として扱ってもらえない。そもそもそんなふうに思うことさえおこがましかったのかもしれない。
結局、慶次さんも一緒なのかな。
これまで何度か恋愛に発展しそうな男性がいた。
しかしみんなわたしの後ろにある白木の名前を気にしていた。
あからさまな人もいれば、うまく隠そうとする人もいた。しかし結局は男性のその思惑が見え隠れした時点で、会うのが嫌になってしまう。
祖父の選んだ人だから、慶次さんは大丈夫だって思ったんだけどな。
いや、自分がひと目ぼれしたからそう信じたかったのかもしれない。だからなにも見ないようにして今日の日を迎えてしまったのだ。
わたしは彼の部屋に座り込んで、子供のようにぽろぽろと涙を流した。
その日からわたしは小田嶋和歌として、慶次さんの妻として振る舞う日々を模索し続けた。