離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「あ、それと。今日も遅くなるから戸締りだけはしっかりして」
「もうっ、子供じゃないんだから」
過保護な彼に思わずクスクス笑ってしまう。大切にされていることが伝わってきてくすぐったい気持ちになる。
「心配なんだよ」
彼の手が伸びてきて、そっとわたしの頬に触れた。
えっ……。
そして彼の整った顔がどんどん近づいてくる。
もしかしてこれって……いや、まさか急に?
思わずギュッと目を閉じた。その瞬間、額に息を吹きかけられてパチッと目を開く。
「ごみがついてた。行ってくる」
「え、あの。はい、いってらっしゃい」
戸惑っていたわたしが声を発した時には、彼はすでに扉の向こうに消えていた。
なんだ……ちょっと期待しちゃった。
肩を落としたままトボトボ歩き、ダイニングチェアに座る。目の前にはまだ食べかけの食事があるけれど、食欲が一気になくなってしまった。
いつまでこんな期待をし続ければいいんだろう。
大きなため息をつく。期待しない方が楽だということはこの一年半を通じてよく理解している。だけどどうすることもできずに、いまだにもやもやしている。