離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 キスもまだなんて、こんなこと誰にも相談できない。

 一度気になり始めると引きずってしまう。なんとか身支度を済ませてわたしは大学に向かった。

 マンションから三十分ほどで到着しいつもの教室に入ると、唯がすでに座っておりコンビニで買ったサンドイッチを食べていた。

「唯、おはよう」

「おはよう。どうした? 暗くない?」

 もぐもぐとサンドイッチを咀嚼しながら、唯がわたしの顔を覗き込む。

「あ、また旦那さんとうまくいっていないの?」

「ちょ、ちょっと。しー」

 誰かに聞かれていないかと慌てて周囲を見渡す。周りには人がいなくてどうやら大丈夫みたいだ。

「ねえ、結婚の話は内緒なんだからね」

「はいはい。ごめんね」

 ペロッと舌を出して肩を竦める姿は、本当に反省しているのか怪しいものだ。でもわたしはこの唯の楽観的すぎるところが好きで、大学入学時から卒業間際になった今も仲良くしている。

「それで、なにがあったの?」

 わたしは首をゆっくり左右に振った。

「なんでもない」

 いくら親友でも、話せないことがある。まさか旦那さまとエッチはもとよりキスさえしてないなんて。

「とりあえず飲みに行こう。バイト代出たからおごる」

「え、いいよ」

「どうせ旦那さん帰ってくるの遅いんでしょ? それに就職したらこんなふうに頻繁には会えなくなるんだからね」

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