離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 わたしはあふれてくる涙をごまかすように、ミネラルウォーターをごくごくと勢いよく飲む。泣かない、泣かない。

 こんなに傷ついても、やっぱり慶次さんが好きなのだ。

 夫婦なのに好きが伝わらない。この先ずっと彷徨い続ける、行き場のない思いをわたしはいったいどうすればいいのだろう。

 二日酔いで回らない頭では、いい考えなんて当然浮かんでこない。わたしはまた布団の中に戻って悩み続けた。



 夫婦としてまったく進展しないまま二週間が過ぎ、卒業式を前にわたしは唯と沖縄に三泊四日の卒業旅行へと出かける。

 東京に戻ってくる日はわたしの誕生日。結婚してからは、誕生日は慶次さんとレストランで食事することになっている。もちろん今年も空港から彼との待ち合わせに直行するつもりだ。

「和歌、忘れ物はない? 日焼け止めは? 心配だな、やっぱり空港まで送っていこうか」

 荷造りを済ませ準備万端のわたしを前に、出勤前の慶次さんは心配そうにしている。

「もう、まるで修学旅行に行く前の先生の話聞いてるみたい」

 半分呆れ気味のわたしだったが、慶次さんは不満そうだ。

「心配くらいしてもいいだろう。夫なんだから」

「そう、だよね……」

 夫という言葉が引っかかる。しかしわたしは笑みを浮かべた。せっかくの楽しい旅行の前なのに、落ち込んで気持ちが沈んだまま行きたくない。

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