離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「慶次さん、わたしの心配より、会社に遅れませんか? いつもの時間過ぎていますよ」
「ああ、わかった。あと、食事の約束忘れていないよな?」
「はい。大丈夫です」
「それと、最後に! 知らない人についていかないように」
「ねぇ、だから大丈夫だって、もう」
からかう慶次さんにふくれっつらを見せると、彼はにっこりと笑って出勤した。
わたしは笑顔の下に泣き顔を隠しながら彼を見送った。
好きじゃないなら優しくしなくていいのに。義務感からくる気遣いがわたしを苦しめていることに早く気が付いてほしい。
いつまでこんな思いを抱けばいいのだろうか。わたしが彼への気持ちに踏ん切りをつけるまではこういう日々が続くのだろうか。
もしこのままだったらわたしは……。
はぁとため息をついて、わたしは空港に向かうリムジンバス乗り場にスーツケースをガラガラと引きながら歩いた。