離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く

 バスの車内でうとうととしているうちに空港に到着した。

 唯との待ち合わせまでまだ時間がある。わたしは手荷物検査の場所だけでも事前に調べようと、空港内をぐるぐると歩いていた。そろそろ待ち合わせの時間だろうとバッグを確認すると、そこには唯からおびただしい数の着信とメッセージが送られてきていた。

【今朝、急に熱が出て。解熱剤も効かなくて行けそうにない】

【和歌、ごめんね】

 少々のことではへこたれない唯の弱気な言葉に、これはただ事ではないのだとわかる。すると手の中のスマートフォンに唯からの着信があった。

「もしもし、唯。大丈夫なの?」

《いや、まったくダメ。ごめんね。ひとりで行く?》

「ううん、やめておく。キャンセルはわたしの方でするから、心配しないで。仕方ないよ。お大事に」

 電話を切り、すぐに航空会社のカウンターでふたり分の航空券をキャンセルした。

 旅行の手配をすべてわたしがしていたので、スムーズに話は進んだ。次にホテルにもキャンセルとお詫びの連絡を入れた。

 ひと通りのことを済ませた頃になって、ひとりでも行けばよかったかなと思ったけれど、せっかくなので唯が元気になったら休みを合わせて一緒に行きたいと思った。

 今回買ったガイドブックはそれまで大切にとっておくつもりだ。

 とはいえ予定がすっかりなくなってしまった。このまま帰ってもなにもすることがない。ふと思い立って、久しぶりに祖父のところに顔を出すことにした。

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