離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
七尾さんは誰が見ても美人と認める整った顔の持ち主だ。わたしも初めて慶次さんに紹介された時には、こんなに綺麗な顔の人がいるのかって衝撃を受けた。
手入れの行き届いたストレートの黒髪。奥二重の少し憂いを感じる形のよい目。スーッと通った高い鼻。薄めの唇は上品さを感じる。びしっとタイトなスーツを着こなしさっそうと歩く姿は、思わずため息が出そうなほどカッコいい。
就職活動している時に色々な企業を訪問したが、彼女よりもカッコよく仕事をしている女性は見たことがない。わたしはひそかに彼女に憧れていた。
あの多忙な慶次さんの仕事の補佐をミスなくこなすのだ。どこから見ても完璧。そんな彼女に慶次さんが信頼を寄せているのは知っていた。
でももし寄せている気持ちが〝信頼〟だけではなかったら?
もしかしてわたしがふたりの邪魔をしているの?
考えれば考えるほどそう思えてきて仕方ない。
指先からどんどん冷えていくのを感じる。
これで慶次さんとわたしの間になにもなかった理由がはっきりとわかった。彼が好きな人はわたしじゃない。