離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
俺の返事を聞いた和歌は、すっかり離婚する気でいるだろう。けれど納得できる理由を聞くまでは、彼女を自由にはしてあげられない。それがたとえ俺のエゴだとしても。
その日、和歌を実家に送り届けた。夜遅かったので白木さんには挨拶をしなかったが、家政婦に訪問の事実だけ伝えてもらうことにした。とはいえ、和歌から話を聞くだろうからその必要もないのかもしれない。
その後、そのまま和歌のいない部屋に帰りたくなく、馴染みのバーへ足を向けた。
言葉数の少ないバーテンダーが接客してくれるこの店を気に入っていた。店内はカウンターのみだが、その分すべての客に目が行き届いているのを感じる。
奥にはカップルがひと組。いつもの席が空いていたのでそのまま座る。
「いらっしゃいませ。いつものでよろしいですか?」
「いや、ストレートで頼む」
ほんのわずかにバーテンダーが驚いた顔を見せた。ここで飲む時はいつもバーボンの水割りだ。しかし今日はもう酔ってしまいたい。
「かしこまりました」