離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 静かに答えたバーテンダーは琥珀(こはく)色の液体の入ったグラスをカウンターに置いた。

 受け取るとすぐに呷(あお)るようにして飲む。のどの奥が焼けるようだ。もうひと口飲もうとした瞬間に、スマートフォンの着信に気が付く。相手の名前を見て【拒否】ボタンを押した。裏返してカウンターの上に置くとすぐさままた鳴り始める。

 きっと出るまでかけ続けるだろうな、こいつは。

「もしもし」

《なんだ、早く出ろよ》

 相手は射水(いみず)虎之助(とらのすけ)。大学時代の同級生で、今はテックコントラクトの開発部長をしている。俺が射水の才能を買って会社に連れてきたのだ。

 そして射水は俺の期待にしっかり応え、成果も出してくれている。ひと言えば十伝わる相手との仕事は、自分の思い描いていた形で進む。今のテックコントラクトがあるのはこいつのおかげだと言っても過言ではない。

< 55 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop