離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「俺の勝手だろ」
《は? なんだ今外なのか? 今日、和歌ちゃん誕生日だろう?》
「うるさい。切るぞ」
《いや、待て。なんだ機嫌が悪いな。あ、もしかして和歌ちゃんとなにかあったのか?》
「余計なお世話だ」
図星をつかれてますますイライラしてしまう。
《わかった。いつものとこだな――おい》
俺はまだ射水が話をしているにもかかわらず電話を切った。おそらくそう時間も経たないうちにやつはここに現れるだろう。仕事で生きるやつの勘のよさが、今の俺には煩わしい。
グラスを傾けること二十分。俺の予想通り射水が現れた。
「しけた面してんなぁ」
ニヤニヤと笑うその顔は、完全に意気消沈した俺をあざ笑っている。きっと今俺が和歌と一緒にいないことで、俺たちの間がうまくいっていないことを悟ったのだろう。からかう気満々だ。
「なにしに来た?」
「え、いやぁ。ひとりさみしく飲んでいるお前を慰めようと思ってだな。あ、指輪渡せたのか?」
どうやったら来て早々、こんなに地雷を踏みまくれるのか知りたいくらいだ。俺は上着のポケットに忍ばせていた、和歌へ渡すはずだったエンゲージリングを思い出してますます落ち込む。
結婚にあたって準備したのはマリッジリングだけ。だからこそ俺の気持ちを伝えるために、順番が違うと理解はしていたがどうしても彼女に渡したかった。
「それどころじゃなかった」