夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

一気に明るさを取り戻した父は、うんうんと頷き「遅くなるなら自分から連絡するように」と小言を言って奥へ入っていった背に母が呟いた。

「単純よね」

私はというと、延々と小言が続かずすんだことに安堵し、やっと、足を玄関の上がり框を跨いだのだが…

「亜梨沙、朝帰りにとやかく言いません。だけど、連絡はしなさい。理玖くんから先に連絡があったから心配はしていなかったけど、千秋さんと出かけたと思っていたら理玖くんからでしょ。お父さん、ソワソワして寝れなかったようよ。久しぶりに彼氏と会えて舞い上がる気持ちはわかるけど、親に心配かけない行動を取るように…」

うわー

父より手強い母からの小言に反省するのだった。

「はい。ごめんなさい」

「お爺さまがお待ちよ。いってらっしゃい」

パンと背を叩いた母も、しっかりと怒っていたらしい。

ホテルを出る前に身を正してきたが、襖の前でもう一度身を正しくする。

「お爺さま、亜梨沙です」

「うむ、入れ」

襖を開け、お爺さまの前に座った。

「久々の逢瀬に時間も忘れたか⁈」

ここでも怒られるのかと身構えたのだけど、かっかっかと楽しそうに笑う祖父が目の前にいた。
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