夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「土砂崩れで被害が出るわ」
「わかっておるじゃないか」
「子供でもわかるわよ」
「そうなる前に、わしら久世は動かねばならない。天災を防ぐのは難しいが、予兆はわかる。被害が出る前に人を動かす。危険な土地は、影から土地を買い占めるぐらいするのが久世じゃ。まぁ、例えじゃがの…慧眼と先見の明を持たぬ者は勤まらん。あやつは、裏を読むことに長けているが、先を見通すほど、生きとらん。目先ばかり見とる。その例が、お披露目の時の恋人宣言じゃな。あのことで、一気に周りが表立って動き出した。そのいい例が千堂の下克上じゃ」
「恋人宣言の何がいけないの?」
「あの時点で皆、スタートラインは一緒だったはずじゃ。それが、あやつが一歩どころかゴール目前までいるとなったらどうする?」
「負けを認めるか、無謀だろうがなんとしてでも追い抜くとか」
「もしくは、罠を仕掛けるとかな。負けを認めた千秋だが、今回の件は、ただでは起きなかったということじゃの。あははは…」
「お爺さまたら…笑いごとじゃありません。今、千堂製薬は大変なことになってるんですよ」
「いいんだ。昔からの方針に雁字搦めになり膿が出ても身動き出来なかった千堂も、これを気に腹をくくったのだ。千秋は外戚だが、新しい考えのリーダーに社の方針も一新する。千堂製薬は安泰だということだ」