夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「もう、難しい説明は理解するのに大変です」
「まったく、亜梨沙は大学を出てるのか?」
「でてますけど」
小馬鹿な言い草にむかっと口を尖らせた。
「ようは、親戚というだけで悪業するしか取り柄のない連中を、情をかけて見逃していたが、会社の危機に直面して、やっと世代交代が必要だと気がついたというわけじゃ。わかったか?」
「それくらいわかりますよ。どうして、その役目が千秋様じゃなく、理玖だったんですか?」
「新社長になる千秋がリークしては、反感を買うだろう。そこで、千堂の経営に興味のない直系の理玖だったわけだ。こうも思い通りに動くとはの…あやつ、お前の元に婿に来る覚悟で、あちこち裏から動き回ったらしいぞ。ワハハハ…」
嬉しそうに高笑いする祖父は、こうなると見越していたに違いない。
今回の千堂製薬の下克上も、お爺さまの主導だったのではと…疑いたくなる。
「まさか、今回の件、お爺さまが噛んでたりして」
「なんのことかわからんの…」
ニヤリと笑う顔は、確信するに十分だった。
はぁ〜恐ろしい人だと身を縮めるのだった。
年末のその日の夕方には、ニュース番組の生中継で謝罪の会見が行われて、旧経営陣の退職、新経営陣の人事発表で会見する千秋様の姿がそこに映っていた。