夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
目を潤ませ揶揄い口調に、我慢しているのは理玖だとわかる。
「いやらしくなったのは理玖のせいだもん。今は我慢するけど、我慢できなくなる前に後継者になってよ。でないと、どうなっちゃうかわからないよ」
「どうなるんだよ?」
「誰かを襲っちゃうかも!」
「イタッ」
油断していた理玖をドンと畳に押し倒し、尻餅をついた彼の腰を跨いで膝をつく。肩に両手を置いて顔を近づける。
そしてわざと理玖の唇を人差し指で塞いだ。
「ふふふ…ドキッとした?」
「あぁ…」
「応援してるから、頑張ってね」
そして、仕返しされる前に身を起こし、戸口まで退いた私に向かって、理玖は言う。
「選ばれたら、抱くからな」
「うん」
「浮気するなよ」
するつもりもないが、わざとはぐらかし手を振って理玖の心を煽っていた。
「絶対抱き潰すから待ってろよ」
「待ってる」
と、背を向けて部屋を出て、母屋に戻る渡り廊下に父が立っていた。
「絶対、認めさせるからな。亜梨沙、待ってろよ」
我慢を強いる決意の声で、達成した時のご褒美が待っているのだと喝を入れた大きな声が聞こえた。
「信用ないな。理玖の決意聞こえたでしょ」