夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
熱くなる頬を押さえて、理玖を横目で睨んだのだが揶揄い終えた理玖は、楽しそうにニヤけていた。
目の前に座る両親は、いちゃつくなとしかめ面だし、祖父は、ご機嫌だ。
昨夜の離れでの件で、確かに亜梨沙の体はどこか物足りなかったのは確かだったが、認められるまでは、お互いに禁欲生活をと我慢すると決めたのだから、思い出させないでほしいと睨んだその後の私との会話はなく、朝食中も祖父と世の情勢について討論していて面白くない。
遊びに来ているわけじゃないとわかっているんだけど、彼女が隣にいるのに祖父とばかりの会話に不満でしかない。食事を終えても、まだ続く討論に母がコーヒーを出してきた。私も愛用しているマグカップでコーヒーを飲む。
「ごちそうさま」と席を立つ際、座卓の下で手を握られて「使ってくれてるんだな。嬉しい」と祖父の目を盗み囁いてきた。理玖が作ってくれたカップを両手で包み頬が綻ぶ。
その後は、2人して祖父の奥の部屋に籠り出てこないまま、私は私で、後継として学ぶことがあり、習い事へと出ていた。
戻ってきてら、祖父の命令で、理玖がしばらく視察で留守にするということを聞かされたのは、夕食の席でだった。
「私、聞いてないんだけど」
「急に決まったからの」