夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「だけど…朝会ったきり、しばらく会えないなんて…酷い。せめて、私に会ってから行くとか出来なかったの?連絡先も交換してないのに…」
祖父か理玖にか、誰に言ったかわからない文句に、母がエプロンのポケットからメモ用紙を出してきた。
「理玖君からよ。まったく…あなたとの未来の為に奔走してるのに、あなたときたら…後継として心構えが足りないんじゃないの」
「さすが、百合子さんじゃ。亜梨沙、理玖はお前と一緒になる為にと、奴の信念を曲げたのじゃぞ。報いてやらんか」
「わかってるわよ」
わかっている…わかっているけど。
久世の名にも、千堂の名にも縛られたくないと言っていた理玖が、久世の名を背負うことを決意してくれた覚悟が、並大抵の覚悟じゃないとわかっている。
だけど…
邪魔をするつもりはないから、せめてなにかしらの繋がりがほしいと思うのは、欲なのだろうか?
折り曲げられたメモを開いた。
『顔を見ずに急に出ることになって、すまない。せめて、顔を見て行ってきますと言いたかったが、お前の顔を見ると覚悟が先延ばしでもいいんじゃないかと揺らぐ気がして、候補でしかない俺を爺さんに1日でも早く認めてもらいたい、その一心で、この手紙だけ残