夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
一枚で済むだけのことだ。だが、わしの寿命は限られているからの」

「相手がいるのに子供が私生児になるのやだ」

「それもそうだの…なら、理玖に後継者に一日でも早くなってもらえるよう、発破をかけんか」

ニヤリと古狸の悪い顔でメモ用紙を顎でしゃくる祖父に、歓喜で抱きついた。

「お爺ちゃん、大好き。…長生きしてね」

抱きついたら、ご機嫌に頬を綻ばせる祖父。

「お爺ちゃんか…。なかなか、いいの。これからはお爺ちゃんと呼んでもらおうかの。ひ孫を見るまで長生きせんといかん。胸の手術でもしてみようかの⁈」

「『お父さん』やっと決意してくれたんですね」

「ひ孫に会う為じゃ、わしも頑張るしかあるまい。ということで、百合子さん、体力作りにもう少し散歩に付き合ってくれるかの?」

「もちろんですよ」

「お父さん、僕は…」

「お前には、久世の外戚筋を黙らせる案件を集めてもらう。まだ見ぬ孫の為なら、容易かろう」

「はい」

なんだか、初めて家族が団結したような気がして、4人揃って笑いあったのだ。

そして、その後、私は理玖のいない離れの部屋で彼に連絡を送る。手始めに人気クリエイターのキャラクターの怒り顔のスタンプの連打。

『怒ってるんだからね。抱きしめて、キスして、いってらっしゃいって見送りたかった。
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