夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

玄関から入ってすぐに、海が見える窓辺に向いてソファが置かれ、その右奥にダブルサイズのベッドが2つ。その角に扉があるからシャワールームとトイレだろう。ファミリー向けの部屋だろうと思える広さに、いいのだろうかと荷解きを躊躇った。

大きな窓を開けて、ソファに座って見る外の景色は、一枚の写真のようで、そのまましばらく景色に癒され眺めていたら、まぁ、ここでいいかという気持ちになる。意外に疲れていたせいと、心地よい風が眠りを誘い、そのまま横になり寝入ってしまった。

ふと、目を覚ました時には、外は茜色になり、寝る前とは違う景色に感動する。

「うわー、素敵」

ひとりでなく、彼氏でもいればもっと素敵な景色に見えるだろうと思った時に、脳裏に浮かんだのは千堂さん。

「いや、ダメでしょ」と、即座に自分自身で突っ込んだ。

素敵な人だけど、ここに滞在期間だけの付き合いだ。それに、自分には、祖父の選んだ婚約者候補がいると、恋する前にブレーキをかけた。

時計もない部屋で、何時だろうとスマホの時刻を確認すると、6時を過ぎている。

うわっ、やばい。

寝汗をかいて、汗臭い体を嗅いだ。

シャワーを浴びなきゃと荷解きをしてもいない荷物から、必要な物を取り、シャワー室に駆け込む。
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