夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

素直に謝られると見る目が変わり、首を左右に振って気にしないでと言っていた。

登っていったら、海を目の前にした屋根付きの共有スペースが設置されていて、トイレとシャワールームにランドリー室があると教えてくれた彼は、口調が柔らかに変わった。

「夜、外に出歩く時は、今来た道を使った方がおすすめだぞ。向こうはカップル用の建物だから、私道と防波堤沿いは独り身には目の毒だからな」

子どもじゃないので、彼の言わんとする内容に思い当たり、頬を染めながら頷いた。

それから、部屋まで案内され、数段ある段差に配慮してくれた彼は、キャリーケースを玄関ポーチまで運んでくれた。

「ありがとう。助かった」

この時には、私もかたくるしい敬語をやめ、じゃあと別れたはずだった。

が、彼は玄関ポーチの段差を降りて頭をかいた後、振り返り、間をおいてから口を開いた。

「酷い扱いしたお詫びに夕食を一緒にどうだ?」

「いいよ」

食事は、ひとりだと思っていた私には、ここでできた友人(勝手に思っている)との食事は楽しいだろうと一つ返事で返す。

「じゃあ、7時に迎えに来る」

「了解」

また、後でと、時間までお互いの時間を過ごすことになった。
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