夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
そして、身支度を整えた後、なぜか鏡に向かって念入りに化粧をし直す姿が映っていた。
いつも以上に気合の入ったメイクが終わり、鏡の中の自分を見てやり過ぎかしらと思うが、もう、迎えの時間まで直す時間もない。
小さな花柄のVネックのフレアスリーブワンピースはマキシ丈で、透け感もちょうど良く、開いた背中の紐リボンが見えるように、背中まである髪を片側に流し清楚感の中に、大人っぽさをだした。
千堂さんから、どう見られたいかを意識している自分に困惑し、悩んでも時間だけがすぎていく。
ドアをノックする音で、タイムリミットがきたことを告げた。
「はーい」
貴重品の入った鞄を持ち玄関ポーチに出ると、段差下にいる千堂さんは、先程のラフな格好とは違って、生成色のコットンシャツに穴の開いていないズボンをカジュアルに着こなし、髪も無造作にセットている。
思わず、見惚れてしまうほどいい男がそこにいた。
向こうもしばらくの沈黙で、上から下まで視線を動かしていた。
「…変かな?」
「いや、いい…似合うよ」
頑張ってよかったと思いつつ、照れ隠しに「…行こうか」と歩き始めた私の横に彼は並んだ。
2人並んで歩きだしたが、会話に困り、言わなくてもいいことを口に出している。