夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
出会って数時間しか経っていないのに、結構、気を許してくれているようで、彼の着飾らない笑顔はとても素敵で、夜空よりも見入ってしまう。
彼との時間は居心地よく、たわいもない話に笑い合い、時間はあっという間に過ぎて食堂の閉館時間になっていた。
そこへ、オーナーがやってきて、食堂の隣にあるプライベートテラスへ誘ってくれる。
食堂と隣接するオーナーの自宅の屋根を改装して、畳六畳ほどのテラスだ。完全なプライベート空間にお邪魔するのは、気が引けた。
「オヤジの昔話、聞きたくないか?」
オーナーのニヤリと笑う悪い笑みは、私の知らない父を知っているらしい。
「ぜひ」
外から、二階のテラスに移動した。
食堂から見る景色も良かったが、頭上に満天の星がすぐそこにある感じがとてもいい。
「うわー吸い込まれそう」
手すりに捕まり前のめりになって、はしゃぐ私。
「危ないぞ」
と、手すりに、もう一つの手が現れた。落ちないように千堂さんが寄り添うように立っているのだ。
突然の接触にドキリとする…、親切心からだろうが、彼の体温を意識させられて、夜空を堪能する余裕はなくなる。
だからといって、自意識過剰だと言われるのもイヤなので、ドキドキしながら、そのまま空を眺めていた。