夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「そう、30にもなるのに、のらりくらりとかわして本気にならない。いつになったら、向き合うんだか?」

「まだ、29だ」

「私は、早く落ち着いて家庭を持ってほしいわ。理玖くんの子供なら、孫のように可愛がるんだから…」

理玖の苦情は真耶さんに流され、私はクスリと笑った。

オーナー夫婦は、お互いに顔を見て『ねー』と期待に満ちた目で理玖に発破をかけている。

「俺は、このままの方が何かと都合がいい」

「お前の人生だ、好きにしろ。だが、時には本気にならなきゃ欲しいものは手に入らないぞ。俺のようにな」

オーナーが、真耶さんの肩を抱いてふんぞり返る姿に、理玖は、ムッと顔を顰めていた。

「飲んだ、飲んだ。亜梨沙ちゃん、楽しかったよ」

「私も、楽しかったです。また、いろいろ聞かせてくださいね」

「あぁ、亜梨沙ちゃんがいる間は、ここでの晩酌に付き合ってもらおうかな⁈可愛いがってる甥っ子は、早々に戻ってしまうから、つまらなかったんだよ」

「毎回、底なしの叔父さんに付き合えるかよ」

「あまり飲めないですけど、お付き合いさせてください」

「嬉しいこと言ってくれる」

「亜梨沙、この人を甘やかすなよ」
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