夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「とても可愛らしい方ですね。お嬢様の婿にと言うお話は、とても光栄なことですが、私は千堂製薬のトップを目指すのに、今はいっぱいいっぱいですよ」
「そうか…残念じゃのう」
すんなり、引き下がる祖父に、疑問を感じた。
「ですが、お嬢様との縁…ここで切れてしまえば、後で後悔してしまいそうです」
要は、私さえ、その気ならばお付き合いしましょうかってことかしら⁈
丁寧な物腰の柔らかさに好感が持てる。
先程の図々しい東海林様とは大違いだ。
「爺さん、俺もいること忘れてないか?」
そこで、理玖がやっと口を開いた。
「おぉ、そうじゃたな」
やっと、私を見てくれる理玖。
だけど…射竦める目に、思わず目を逸らしてしまった。
「亜梨沙よ。こやつは、千堂の一人息子でな…政略結婚も経営にも興味無いという奴での…なら、久世に婿に来るかと誘えば、わしに向かって久世など興味がないとはっきりと言う奴だ。面白い男だろ…こんな可愛い娘がもれなくつくというのにな」
そうなの⁇と理玖を見れば、頬がピクリと動いていた。
「千秋兄さんと違い、千堂製薬の経営にも久世にも興味ありませんよ。今も、政略結婚なんて興味ありません。愛する人と結婚しますよ」