夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「亜梨沙、どうした?返事をせんか」

「あっ、はい。千秋さまがよろしければ」

その瞬間、ブリザードが起こったような寒気が走った。

理玖がめちゃくちゃ、怒っている。
千秋さまの誘いを断るべきだった…

「えぇ、ぜひ。近いうちにご連絡させて頂きます」

「…お待ちしております」

千秋さまは隣の理玖を見て、微かに口角を上げた。
そして、私の手を取り、指先に唇を触れた。

瞬間、ギリッと歯軋りが聞こえた気がするけど、祖父も千秋さまも楽しそうに笑っているので、聞き間違いらしい。

「千秋、お前は、よくわかっておるの。千堂製薬は安泰じゃ…ワハハハ」

「そうでしょう⁈私の将来の為に協力は惜しみませんよ」

あはははと笑う祖父と千秋さまの会話についていけない私は、突然の安泰だとか、協力とか、なんの話をしているのかさっぱりわからない。

たぬきときつねの協定が結ばれているとは、この時の私と理玖は気がついていなかった。

「さて、疲れたわい。わしは、そろそろさがるとするか…そちらはゆっくりしていけ。亜梨沙、部屋まで付き合え」

「はい、お爺さま」

「御前、亜梨沙さん、また後ほど」

「うむ」
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