夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「どうじゃった?気になる奴はいたか?」

祖父の半歩後方を歩く私に、ちらっと顔を向けた祖父。

見透かされているようで、私の心臓は忙しくドキドキと鼓動を鳴らしていた。

もう会うこともないと思っていた理玖との再会を、どう受け止めていいのかわからないでいた。

会えて嬉しかったのは、私だけらしい。

まだ、心には理玖がいると気がついてしまったが、彼は、私との再会を喜んでいるように見えなかった。

松浦 亜梨沙と名乗っていた女が、久世 亜梨沙と名乗って目の前いる事実に、困惑しただろう…

騙すつもりはなかった。
ただ、久世の名の重みを背負う前に、松浦 亜梨沙として、普通の女の子でいたかった。

理玖との別れを、今更、後悔しても仕方ない。
わかっているのに、割り切れない。

再会するとわかっていれば、あんな別れを選ばなかったのに…

一時とはいえ、恋人だった私との再会に気まずくなったのだろう。でなければ、あんな目で私を見ないはずだ。

既に、彼に愛する人がいるという
そして、久世になど興味がないとはっきり言ったというのに…

私の心は、理玖でいっぱいだった。

早る心を祖父に見透かされないよう、祖父に合わせて歩いていた。

勅使川原 将暉さま
警察庁に勤めているせいか、表情と口ぶりからは、何を考えているか読めない。距離を置き冷静沈着に物事を判断するタイプにみえる。
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